さて、ちょっと過激派かタイトルで始まりました。
みなさん今使われてるコンポーネントは何ですか?シマノ?スラム?カンパ?他にもたくさんありますがその中でもシマノコンポーネントを利用されてるオーナー様は多いのではないでしょうか?
ですが、本当にそのコンポーネント選びで正解ですか?
変速性能や価格でコンポーネントを紹介されてる方は多く拝見しますが、今回は設定されているスプロケの丁数にフォーカスをあてていきましょう。
かなりの長大作になるかと思いますがお付き合いください。
と、本編に入る前に。
この内容は特定の方や使用されている方などを攻撃や冒涜する意図は全くございません。
今後みなさまがカスタムの際に、微力ながらお力添えできればと思い作成しております。
あと個人的な趣味で制作を進めております。ご理解の程お願い致します。
ということで、コンポーネントを見ていきましょう!!
今回は3種類4世代に渡って比較していきたいと思います。
こちらの3種類でDURA-ACEはR9200.R9100.9000.7900シリーズ
ULTEGRAはR8100.R8000.6800.6700シリーズ
105はR7100.R7000.5800.5700シリーズ
これらで比較して見ていきたいと思います。
比較条件ですが、先述した通りスプロケサイズで比較していきます。そのためチェーンリングのサイズは50Tで統一していきます。
またGDを算出するために用いたタイヤは700×28C (622-28)とし、タイヤ外周は2136mmで計算していきます。
https://www.cateye.com/files/manual_dl/1/129/Tire_size_chart_JP_151023.pdf
速度を計算する際にはケイデンスを90rpmで統一しております。
※当初は一回で完結する予定でしたが、実際に書いてみると凄まじい量になってしまいまして、DURA-ACE編、ULTEGRA編、105編と3回に分けて投稿いたします。
ではまずR9200シリーズから見ていきましょう。
R9200シリーズ
R9200には11-30T.11-34Tの2種類のスプロケが展開されております。
11-30Tのスプロケ構成は
11-12-13-14-15-16-17-19-21-24-27-30
11-34Tのスプロケ構成は
11-12-13-14-15-17-19-21-24-27-30-34
とこのような構成になっております。
この2つのスプロケの違いは16Tと34Tのコグの差にあります。
これは多くの方がご理解されておられると思いますが、この2つを比較した際に11-30はより高速域での走行に強いスプロケになっており、11-34はキツい勾配でもよりペダルを回しやすい登りにメリットの大きいスプロケとなっております。
その事をよりわかりやすく二つのスプロケを詳しく比較していきましょう。
先ず、11-30Tから
こちらには16Tのコグが存在しており、実はこの丁数はかなり大事で後述する11速世代のコンポーネントの選択のむずかしさの要素の一つにあると考えております。
では、なぜ16Tが大事であると考えるかとお話ししますと
周辺のコグ 14.15.17.19Tとの速度変化の差を見ていくとわかりやすいと思います。
こちらも先述した通りチェーンリングは50T、ケイデンスは90rpm、タイヤ外周2136mmで比較します。
その際
ギア比 GD 速度
14T 3.57 7.62 41.148km/h
15T 3.33 7.11 38.394km/h
16T 3.12 6.66 35.964km/h
17T 2.94 6.27 33.858km/h
19T 2.63 5.61 30.294km/h
と、このようになります。
この速度変化として17Tから19Tの変化での3.564の差が最も大きくなります。
しかしどうでしょう?
高速走行を目指すスプロケで、もし16Tを除いてしまうと…
これは11-34Tのスプロケの構成の話になってきます。
11-34Tでは16Tのコグが取り除かれ34Tというかなり大きなコグが付いてます。
では34Tの速度を見ていきましょう。
ギア比 GD 速度
30T 1.66 3.54 19.116km/h
34T 1.47 3.13 16.902km/h
このようになっております。
かなり軽いギアとなっているためヒルクライムでもかなりのアドバンテージとなると言えますね。
今回の検証とは直接的な関係はありませんが、34Tは過去のデュラエースシリーズの中で最大のスプロケになります。チェーンリングを50-34Tを使用する事で、このサイズでギア比1を実現できることが今回のコンポーネントのポイントの一つでもあります。
さて、34Tが付いたことで登りがより楽になった一方で16Tが無くなってしまったセンターからトップ寄りの速度変化はどうなったのか見ていきましょう。
ギア比 GD 速度
15T 3.33 7.11 38.394km/h
17T 2.94 6.27 33.858km/h
これはかなり大きな差になりましたね。
4.536も差が生まれてしまいました。
なんと、この差は今回検証したすべての組み合わせの中で最大の速度差となりました。
それが16Tの前後で起きるのは興味深い内容ですね。
特に33〜38km/hの差となるとなかなかの高速域でケイデンスをかなり上げて走るとなると使用するギアの選択も不安定になり15Tと17Tを行ったり来たりとなると仰るベテランライダー様もいらっしゃる事を聞きました。
そうなるとやはり16Tという選択は是非できるようにしとく方が宜しいのかなと思います。
もちろん勾配10%を超えてくる登りが続くエリアで常時16T近くを使用されるライダー様はあまり多くないかなと思いますので、ここでの2択では高速巡行をメインとされる方は11-30T、そしてヒルクライムや低速での走行をメインにされる方は11-34Tを選ぶとよろしいかと考えます。
R9100シリーズ
では、続いてR9100シリーズを見ていきましょう。
R9100では11-25T.11-28T.11-30T.12-25T.12-28Tが設定されております。
この時点でわかるのがR9200シリーズよりも小さなスプロケになっていることがあります。
ではこの世代の内訳をみてみましょう。
11-12-13-14-15-16-17-19-21-23-25
11-12-13-14-15-17-19-21-23-25-28
11-12-13-14-15-17-19-21-24-27-30
12-13-14-15-16-17-18-19-21-23-25
12-13-14-15-16-17-19-21-23-25-28
このようになっております。
ここで1つポイントになるのはトップギアが12Tのスプロケが設定されていることです。
R9200はトップが11Tのみになってましたね。
これは私の憶測になりますが11速では、なるべく幅の広いギア比を作成するためにスプロケのみで調整すると間がかなりスカスカになってしまうため、トップギアを少し大きくするとこで解決していたと思われます。
その裏付けとしてR9100にはチェーンリングに55Tというかなり大きなサイズの設定がありました。しかし、R9200には54までとなっており、リアが12速になりスプロケ側で対応でき、チェーンリング側で選択をする必要がなくなったことが大きな要因と考えられます。
そしてこの世代でも16Tがいかに重要視されていたかわかる部分があると言えますね。
それがトップギア12Tのセットがあることです。もっとも速度のみにフォーカスを当てるのであれば、より高い速度がのぞめる11Tを使用すると方がメリットがあると言えます。
ですが、トップ12Tが設定されているのは比較してみると求めるところがわかると思います。
先述したところのカセットの丁数のトップ12Tにはそれぞれ間に18T.16Tが追加されております。16Tは既に説明した通りの理由ですが、18Tも同様の理由により追加されております。
17Tから19Tに飛んだ場合33.858km/h→30.294km/hへ変わります。
18Tでの速度が31.914km/hとなるので3.564の差が1.944と1.62に二分する事ができるのでチェンジした際のギャップを低下させる事ができます。これがトップ12Tの最大の魅力であると言えるでしょう。
11段の限られた中で走行するエリアを絞る代わりに1つ1つの変速の差を最小限にすることにより、より高い変速動作を体感することができます。これがクロスレシオギアになります。また、これと反対に位置付けられる幅の広いギア選択ができるものがワイドレシオになります。
ですので30〜40km/hの間で走行する機会が多い方はトップ12Tを選択するのも吉かと思います。
9000シリーズ
9000シリーズに入りました。
本編とは全く関係ありませんが、この世代までクランクセットがシルバーベースになってましたね。現行のブラックとこの世代までのシルバーとで人気が二分してますよね。
あと、たまにR9000と言っておられる方を拝見しますが、Rと付くのは9100シリーズ以降の型になりますのでお見知り置きを。
では、本編に戻りましょう。
9000シリーズで展開されているスプロケは以下の通りです。
11-23.11-25.11-28.12-25.12-28
以上の5種類になります。
内訳を見てみましょう。
11-12-13-14-15-16-17-18-19-21-23
11-12-13-14-15-16-17-19-21-23-25
11-12-13-14-15-17-19-21-23-25-28
12-13-14-15-16-17-18-19-21-23-25
12-13-14-15-16-17-19-21-23-25-28
と、このようになっております。
あれ?何かにお気づきになられましたか?
鋭い方はいくつか気づかれると思います。
世代が古くなるにつれて最大ギアが小さくなってますよね。
R9200では34T、R9100では30T、9000では28Tと。
これはただの憶測に過ぎないのですが、走り方の変化によって起きているものであると私は考えております。
どういうことかと申しますと、ギア比が大きいと必然的にGDも伸びます。その分同じケイデンスで回した時に走行速度も伸びるので結果として速く走れると言えるでしょう。ですが、重いギア比で走るとケイデンスが下がってしまいますので安定感が欠けてしまいます。そのため、より厳しい勾配を走った際にも安定感を保ちながら走ることを目的に変化していった内容になると考えております。全くもって的外れなことを言っておりましたら申し訳ございません。
そのためこの世代は間のギア抜けがあまり起こっておりません。
ですが、最大ギア23Tとなりますとギア比2.17で34Tの1.47と比較するとかなり重くなり、進行距離約1.5m分の負荷となり、ヒルクライムをメインで走られる方へは正直オススメしにくいですね。
ですが、細かなギア変更が実現できるので無理のないケイデンスの範囲で少しずつ速度の上昇が実現できるので滑らかで違和感のないチェンジが実現できるといえます。
特にこの世代では走行する想定エリア毎で細かく分割されている事がよくわかります。
7900シリーズ
さて、凄まじく長くなっておりますがデュラエース編最後のシリーズ、7900デュラエースとなります!
こちらリア10速となり、歯数構成も変わってきます。
このシリーズで設定されているスプロケは以下の8種類になります。
11-12-13-14-15-16-17-18-19-21
11-12-13-14-15-16-17-19-21-23
11-12-13-14-15-17-19-21-23-25
11-12-13-14-15-17-19-21-24-27
11-12-13-14-15-17-19-21-24-28
12-13-14-15-16-17-18-19-21-23
12-13-14-15-16-17-19-21-23-25
12-13-14-15-16-17-19-21-24-27
以上となります。
お恥ずかしい話、今回調べるまで7900シリーズのスプロケの展開を全く知らずでして。
そして調べてみたらこの量です。最新のR9200の4倍。いや、流石に選択肢多過ぎませんか?
もっとも、10速コンポーネントなのでさまざまなエリアで走る事を想定すると、この莫大な量になるのは理解できますが。
そして、このシリーズに設定されている11-21のスプロケ。現在34Tが設定されていることを考えるとかなりのハードなギアですね。
見た目が完全にとうもろこしの芯…
ですが、この組み合わせは現行の11-30Tの12速よりも中抜けする量が少ないので、より微量な速度変化にと対応しやすいと評価できると思います。
ですが、いかんせん21Tということでローギアで回してもケイデンス90で回しても27km/h以上出るようかギアですので、もっとも現代ではローギアとは言い難いなと感じます。
その他の設定は内訳は変わりますが9000シリーズと考え方は基本同じですね。
という事で…
長くお付き合いありがとうございます。
総括は105編の最後に行おうと思いますが、デュラエース単体に限って見ると、実は現行のスプロケよりも更にクロスレシオなギアになってギア抜けしにくい組み合わせが10年以上前の10速コンポーネントに設定されていたり、トップギアが必ずしも11Tであると限らなかったりと、ただ力で解決するような無理なことはせずにライダーによりストレスフリーな設定を組まれている事を再認識いたしました。
もっともクロスレシオなギアで高速域で細かく調整したい方は9000シリーズを敢えて使用してみるのも一つ手段なのかもしれませんね。
ですが、現行モデルでは12速対応になってますので、何かあった際にリペアパーツなどが入手難易度が些か高いかもしれませんね。
では、次回アルテグラ編でお会いしましょう!