今みなさんの乗っておられる自転車の車輪の固定方法は何かわかりますか?
現代ではディスクブレーキが主流で、それに合わせて12mmのスルーアクスルがロードバイクでは付いてますよね。
ですが、少し前までは規格が乱立してクイックリリースのディスクブレーキバイクもありましたね。(今も一部クロスバイクで採用されているものもあります。)
そんなスルーアクスル全盛期の現代ではクイックリリースとスキュワーナットの話でもしようかなと。
固定方法
まず、クイックリリースはこれです。
このように片側にレバーがついており、これを押し込んだり引いたりすることで車輪の脱着を行います。
次いでスキュワーナット。
さきほどのクイックリリースとは異なり、左右どちらにもレバーは付いておりません。
その代わりに、片側に六角の穴が設けられております。
これを回すことで車輪の脱着を行います。
では、どのような違いがありこの2種類が存在しているのでしょうか?
大きな違いをあげると車両の脱着の速度にあります。
かなり広い区分で話すとクイックリリースが付いているバイクはロードバイク。つまりはレーシングバイクになります。レースで勝つことを目的として作られているため走行中のトラブルも1秒でも早く復旧することが求められます。その際にママチャリのようなネジを左右共に全部クルクルと回していると大きなタイムロスになってしまいますよね。それらを上手く削る為に使用されているシステムです。
そして、一方でスキュワーナット。
これに関してはここ5〜6年で一般化してきたような印象があります。
それこそハイエンドバイクが完全にディスクブレーキへ移行する少し前は多くの方が意図的に評判の高いスキュワーへ変更していたイメージがあります。一般ユーザー様の使用レポを見ていると「ガッチリと固定できて足回りが固くなった」「ネジで回すから安全」と言った内容を多く拝見しておりました。当然賛否ありますが、様々なSNSで総じて高い評価が出ていたと思います。
クイックリリースの完成車パッケージは減ってきている
冒頭でも述べたように、現在ではディスクブレーキのバイクが主流になっており、リムブレーキで使われていた規格は消えつつあります。
ですが、2023年時点では一部ロードバイクのパッケージでリムブレーキは残っているのでそれはクイックリリースがついているのですが、問題はクロスバイクです。
気にされない方からすると大した問題ではないかも知れませんが、5年ほど前だと多くのクロスバイクには標準でクイックリリースがついておりました。
それがあるタイミングからスキュワーナットへ変更になってきたのです。
それの原因となったのがこれらです。
何か違和感は感じられますか?
この違和感を理解された方は普段から意識的にバイクの管理をされておられるのではないかと思います。
そうです。
クイックの固定の仕方が正しく無いんです。
よく見てみると
外側に「OPEN」の文字が。
これは本来だと内側に入っており、「CLOSE」が外側は来るわけですね。
これは固定する際に最後レバーを畳まずに、スルーアクスルのように最後まで回し込んだ結果です。
このように、本来の正しい使用方法とは異なったやり方で固定をする方が多く出て、その結果として車輪が外れて大きな事故につながるケースが多発した為にクイックリリースは減少していきました。
何故回すだけでは固定できないのか?
実は固定は出来ていると言えばできているんです。
一応最後まで回せばフレームエンドは内側に圧縮されるので、挟み込まれてホイールはなんとなく固定されます。
ですが、クイックリリースにおける固定という内容では正しくありません。本来の使用方法と異なる方法をとって事故を起こしても、当然ながら自己責任で販売店もメーカーも責任はとりません。
まぁ、責任の所在はありませんからね。
では、クイックリリースの正しい締めつけ位置はどこなのでしょうか?
先ずはこちらをご覧ください。
正しくクイックレバーを締めた際のトルクの変化をおおよその値で示したものになります。
(※数値は目安のためのものです)
これを見て不思議な事にお気づきでしょうか?
この赤丸の部分を見てください。
最後90度付近で締め付けトルクが下がっているんです。
普通に考えると変な話ですよね。
最後しっかりと締めたいのであれば、より高いトルクで締める。これが自然ですよね。
ですが、最後にトルクが落ちる。
これは何故か。
ロードバイクにしてもクロスバイクでも、マウンテンバイクでも車種を問わず走る場面は少し異なりますが、全て鏡面のように全く段差のないエリアではないことは確かであると思います。その際に大小ありますが振動が伝わりますよね。その振動に対しての対策でクイックリリースは最後トルクが下がるようにできております。
例えば
このような台があるとします。(画像の右側は壁とします)
そこの頂上にボールを置き、任意の方向に力を入れるとどうなるか?
想像は容易ですね。
左右のいずれかに転がっていきます。
これが、さきほどのグラフにおける角度80度の地点における現象です。
では、90度付近でのエリアはどうでしょうか?
このグラフでは縦が締め付けトルクになります。つまりはクイックレバーを緩める方向にのみ進み、更に緩めるためには一度強い力を加えなければなりません。
そのため先程のボールを任意の方向に力をかける検証では、持ち上げるように力を伝達させることがなければ緩むことはないのです。
それにより、クイックリリースのレバーを回転させるだけでは確実な固定ができているとは言えないですね。
んで、スキュワーナットは?
正直、スキュワーナットも回転させているだけですので、クイックリリースに比べると総合的な能力としては劣ると思います。
ですが、クイックリリースの正しい使い方が出来ない方の場合スキュワーナットを使用することで、より車輪が外れる事故が起こる確率は低減して行くと思われます。
まぁ、このようなロックの金具が付くくらいですから…
車輪は走っておられる速度帯に関わらず、正しく固定されていないと外れ落ちる可能性が十分にあります。
ご自身が正しく安全に管理できる方を選び、怪我のない自転車ライフを!!